円相場、1ドル150円突破後に乱高下 日本経済への影響懸念

(2023/10/4 17:00)

  • 円相場は1ドル=149円台で推移(4日午後、東京都中央区)

円相場が乱高下している。3日のニューヨーク外国為替市場の円相場で一時、1ドル=150円を付けた直後に147円台前半まで急伸。政府による円買い・ドル売りの為替介入の観測も取り沙汰されたが、その後は再び下落し、4日の東京外国為替市場の円相場は149円台前半で推移している。米国経済の底堅さを受けてドル高の勢いは一段と強まっており、日本経済への影響が懸念される。

「安定的な動きが望ましく、急激な動きは好ましくない」。4日、鈴木俊一財務相は過度な円安進行に懸念を示した。為替介入の有無については言及を避けたが、市場では介入したとの見方が強い。ただ、4日には再び150円をうかがう水準まで下落しており、仮に政府の介入としても日本単独では急場しのぎに過ぎない。

米国経済は累積的な利上げの影響で、労働需要や個人消費は軟調とみられていた。ただ3日に発表された求人件数が市場予想を上回るなど、あらためて米景気の力強さを示した。インフレを押さえ込みたい米連邦準備制度理事会(FRB)が追加の利上げを実施する見方が強まっており、ドル買いの資金流入が優勢になっている。

一方、日銀は金融政策の正常化を念頭に置いた発言が目立ってきたが、利上げなど大幅な方針転換には、なお時間を要する状況だ。このため日米金利差を意識した相場展開が続く見通しで、円売り優位の需給環境を改善させるすべはない。

円安は日本の輸出企業にとって追い風になり、利益の押し上げ要因にもなる。またインバウンド(訪日外国人)の増加などプラスの面もあるが、エネルギーの高騰など副作用も大きい。多くの日本企業にとって“適温”とされる為替レートは1ドル=130円台とされる。行き過ぎた円安から巻き戻せるのか、政府・日銀は市場との神経戦が続く。

(2023/10/4 17:00)

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