産業春秋／「旧ソニプラ」が映す百貨店のいま

１９６６年、銀座ソニービルの開業とともに誕生した「ソニープラザ」。その後、ソニーから分離し現在の店舗名「ＰＬＡＺＡ」となったが、今なお「ソニプラ」の愛称で親しまれている。

海外直輸入の菓子や日用雑貨。欧米の香り漂う商品であふれる店内に心躍り、つい引き寄せられてしまう。日本初上陸のアイテムも多く、ここから多くのヒット商品が生まれたトレンド発信基地だった。

そんな同社の資本関係が変わる。大丸松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングは「ＰＬＡＺＡ」の運営会社の株式のうち自社保有分を投資ファンドに売却した。２０１１年に同社株を取得以来、グループ内出店を進めてきたが、不動産開発や金融といった非小売り分野の事業に経営資源を集中する戦略の一環だ。

ライフスタイルや消費者ニーズが変わる中、流通業は岐路に立つ。地方だけでなく主要都市でも閉店が相次ぐ百貨店の危機意識はとりわけ強く、旧来型の百貨店ビジネスからの転換を模索する動きが加速する。

「ＰＬＡＺＡ」の歴史を記したサイトにはこんな一文がある。「モノとコトから文化を作る存在へ」。それはかつて百貨店が目指した姿ではなかったか。