産業春秋／原油価格1バレル157ドルも

１９７３年の第４次中東戦争並みに中東情勢が悪化すれば、原油価格は最高で１バレル＝１５７ドルまで上昇するという。世界銀行が原油急騰の可能性に警鐘を鳴らす。足元で米国産標準油種（ＷＴＩ）は同８０ドル台前半だが、中東産油国が供給制限に動けば市場の大混乱は避けられない。

サウジアラビアとロシアが９月に追加減産・輸出制限を打ち出し、９月末に一時同９５ドルまで原油は高騰していた。だが米国のガソリン在庫の積み上がりなどを背景にＷＴＩは下落。イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争開始後も数％程度しか上昇していない。

イスラエルのネタニヤフ首相は停戦はないと断言し、地上作戦は人質解放のチャンスと語った。世銀が描いた最悪の事態に陥らないことを願いたい

国連総会は１０月２７日に「人道的休戦」決議案を採択した。イスラエルと米国など１４カ国が反対し、中東産油国など１２０カ国が賛成した。日本は棄権。イスラエルとアラブ諸国の隔たりが懸念される。

岸田文雄政権は２日にも総合経済対策を閣議決定する。電気・ガスやガソリンの価格抑制措置は大きな柱の一つ。効果が薄れることはないのか、緊迫の度合いを増す中東情勢から目を離せない。