健康経営とCFで挑戦意欲向上 ノボル電機・猪奥元基社長に聞く

(2023/11/8 12:00)

ノボル電機(大阪府枚方市、猪奥元基社長)は、拡声用音響装置で国内メーカー3社の一角を占める。猪奥社長は2018年に就任後、生産拠点の再編やBツーC(対消費者)進出で創業来の変革に挑んでいる。成熟する国内市場でいかに殻を破り、持続的な成長を目指すのか。猪奥社長に聞いた。

―主力の拡声用音響装置や需要の動向は。

「当社はメガホンや構内放送、車載、船舶のアンプ(増幅器)とスピーカーなど多様な拡声装置を手がける。教室のスピーカーやゴミ収集車が流すメロディーのアンプも製造し、公共ニーズに強い。しかし人口減で市場は縮小し、自治体の需要が減っている」

―18年に本社工場を大阪府交野市から枚方市に移転しました。成果は現れていますか。

「大阪府の東部3カ所に分散していた拠点を本社工場に集約した。長年、別々に分かれていたためコミュニケーションを取りづらく、弊害が生じていた。一つにまとめ、しっかりと意思疎通に努めてきた。生産を効率化し残業の低減と有給休暇の取得向上につなげている。従業員の健康づくりも進め『健康経営優良法人』の認定を受けた」

―BツーCに進出したきっかけと狙いは。

「クラウドファンディング(CF)で購入支援者を募り、21年からスマートフォン用スピーカーと小型コンポーネントステレオ(ミニコンポ)の自社ブランド品を開発した。CFに挑戦した目的は社内の意識改革。拡声用音響装置だけでもコストダウンすれば何とかやっていける。だがそのために、かえって変われなかった。健康経営とCFでチャレンジ精神が芽生えてきた。百貨店の催事にも出展し前向きになっている」

―業務用ではなくBツーCで伸びるのが持続成長の戦略ですか。

「BツーCは一つの突破口として必要だった。これを機に拡声器メーカーとしてよりも、むしろ組み立てに強い工場として認知度を高め、受託生産を増やしたい。当社は年間1000個までの少量多品種生産が得意。19年から新たな顧客開拓に努め、自動車業界向けの音声関連などで受託生産比率を伸ばしている。本社工場はムダの少ない筋肉質な製造ができるようになった。生産余力もある」

(2023/11/8 12:00)

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