(2023/11/8 17:00)
JFEスチールは8日、倉敷地区(岡山県倉敷市)で計画する高炉1基の大型電気炉への転換で、2027年度に稼働させる方針を示した。設置は1基とし、電磁鋼板など高級鋼を年に約200万トン生産する。総投資額は1000億円超の見通しで、二酸化炭素(CO2)削減効果は年260万トンを目指す。鉄源のうち最大50%使用する還元鉄は中東などから調達する。200万トン規模の高品質鋼を大型電炉で生産できれば世界で初となる。
JFEスチールは22年以降、倉敷第2高炉(容積4100立方メートル)の大型電炉への切り替えを検討中で、稼働時期と生産規模を明言するのは初めて。北野嘉久社長は同日の脱炭素化に関する説明会で「(研究開発と設備実装への)政府の支援を前提に、高炉法に匹敵する電炉での高品質・高機能材の大量供給体制を実現する」と述べた。
国内鉄鋼業界の二酸化炭素(CO2)排出量は産業界全体の約4割を占め、大半を占める生産工程での脱炭素化は急務。国家プロジェクトでカーボンリサイクル高炉や水素還元製鉄など複数の技術開発を進めるが、実用化までに時間がかかる。
JFEは30年度のCO2排出で13年度比30%以上削減を目指しており、達成には高炉に比べCO2の排出量が25%程度の電炉が有力な武器だと判断した。
倉敷での1000億円超の投資は電炉のほか、それに伴う電力系統の増強、港湾設備や原料のスクラップのヤード設置に充てる。電炉での高級鋼生産では鉄スクラップや直接還元鉄の安定確保、不純物影響の制御など課題の解消が不可欠だ。
北野社長は「グリーン電力の確保や電力コスト低減、還元鉄の安定調達などが必要」とし、政府による支援が欠かせないと訴えた。技術的には「高品質化」「高効率溶解」が求められ、27年度実装は野心的挑戦といえる。
(2023/11/8 17:00)
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