インタビュー/熊本県知事・蒲島郁夫氏 半導体集積効果を県全体に

(2023/12/14 17:00)

3次元積層実装、産学官で量産化へ

2024年に台湾積体電路製造(TSMC)日本工場が本格稼働する熊本県は県政の大きな節目を迎える。蒲島郁夫熊本県知事(76)は、24年3月の任期満了に伴う次期知事選への不出馬を表明した。同工場の受け入れをリードし、シリコンアイランド復活の中心地で半導体産業の振興を進めてきた蒲島知事は14日、日刊工業新聞の取材に応じ、これまでの取り組みや次世代への思いを語った。

―今期限りの退任を表明しました。現在の思いは。

「熊本では将来に向けて良い流れができている。熟慮を重ね次のリーダーに託すタイミングだと判断した。次世代のリーダーには、この流れをより強く大きくしてほしい。一方で交通渋滞などの課題が残る。残り任期で課題解決に向けた道筋をつけ、後任の知事がスムーズに取り組めるようにしたい」

―TSMC日本工場では稼働に向けた準備が進みます。

「工事や海外からの社員受け入れが順調に進む。工事については『納期を守り、きちんとやる』という姿勢がTSMCからも評価されていると感じる。周辺環境の整備もしっかりと取り組むのが大事だ」

―県内への企業立地に伴う人材不足が懸念されます。 

「地元企業から人材確保が難しいという話もある一方、新卒の県内就職率は上昇傾向だ。県内製造業が注目されていると考えられる。若者の県内就職を促進するためにも地元企業の魅力を広くPRする。企業の採用力向上のため専門家派遣などを通じた伴走型支援にも取り組む」

―県南地域への経済効果波及については。

「八代地域で新たな県営工業団地を整備する。球磨川水系の豊富な水資源が活用できるのではないか。八代港や高速道路、新幹線などの交通インフラも整う。半導体産業集積の効果を県全体に広げていきたい」

―産学官で半導体の3次元積層実装技術量産化にも挑みます。

「研究開発プロジェクトが始まった。県内に半導体関連企業が多数集積する強みを生かし、技術や財政面でも支援していく。熊本大学と県が設立した組織『くまもと3D連携コンソーシアム』でも3次元積層実装の量産化に取り組む。現在は約90社・機関が参加しており新産業の創出も期待したい」

(2023/12/14 17:00)

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