産業春秋/「つながらない権利」の前に

(2023/12/14 05:00)

深夜、メッセージアプリの着信音が聞こえたような幻聴に見舞われることがある。たいてい仕事が立て込み、心の余裕を失っている時だ。

ITの普及で時間と場所を選ばない働き方が可能になった。半面、いつでも連絡がとれるようになったことで、仕事とプライベートの境界線は曖昧になり、勤務時間以外でも職場や取引先への連絡への対応を求められる人は少なくない。コロナ禍以降のテレワークの浸透で、その傾向は強まっている。

連合が9月に実施した調査によると、勤務時間外に「業務上の連絡がくることがある」との回答は72・4%に上り、コロナ禍前より8・2ポイント上昇した。連絡対応を拒否できるなら72・6%が「そうしたい」と受け止めていることも分かった。

「つながらない権利」が世界的に注目されている。いち早く法制化したフランスは、権利行使の条件を労使交渉で取り決めることを規定した。同様の動きは欧州や南米などにも広がる。

技術の進展は効率化をもたらす一方、それをどう駆使するかは働き手の意識が問われる。時間外の業務連絡を遮断する「権利」の確立・行使の前に、まずは一人ひとりの常識的な判断や主体性を受容する社会でありたい。

(2023/12/14 05:00)

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