(2023/12/28 12:00)
人工知能(AI)で脳を模倣する―。NTTデータが提供しているクラウド型ソリューション「NeuroAI D―Planner」は、テレビCMやパッケージデザインなどに対する消費者の評価をAIで定量的に予測・分析する。従来より迅速で安価な評価手法を活用し、分析を繰り返してマーケティングの精度を高める。勘と経験に頼りがちだったクリエーティブ制作に科学的な視点を加える。
同ソリューションは「微妙な差を比較できる」(担当の大山翔氏)精緻さが特徴の一つ。技術基盤は情報通信研究機構(NICT)と共同開発した二つのAIモデルだ。
一つはコンテンツ視聴時の脳活動を予測する人工脳モデル。機能的磁気共鳴撮像法(fMRI)で撮像した血流量変化を秒単位で脳活動として捉え、脳深部の活動を捕捉した。脳活動のパターンに応じて人が抱く感情や思い浮かべやすい言葉を予測する解読モデルと組み合わせて、コンテンツを見た際の脳活動とそれに伴う知覚や行動を予測している。
D―Plannerは評価したいコンテンツをクラウド上にアップロードすると最短40秒で分析。消費者の購買行動をプロセス化した「AIDMA」に則した「好感度予測」、「広告効果予測」など九つの分析ができる。
AIならではの特徴的な分析にテレビCMの「GAP分析」がある。1秒ごとのシーン別に「うれしい」「おいしい」といった任意のキーワードが視聴者にどのくらい伝わるか予測する。キーワードは日本語の動詞、形容詞、名詞など約10万語を設定可能。制作段階で改善につなげる。
競合他社の商品パッケージを分析して消費者が抱く製品イメージを予測し、市場調査に活用するなど用途は幅広い。1素材当たり1万円相当で分析が可能なほか、月額50万円(消費税抜き)で使い放題のプランもある。従来の手法では1件当たり調査分析に1カ月以上必要で料金も数百万円が相場だったという。「飲料パッケージのリニューアルにかかる時間とコストを75%削減できたという顧客もいる」(大山氏)。
今後は動画配信サービスでの用途開拓を検討中。例えば、特定のシーンで視聴者が抱く感情を予測し、シーン直後には視聴者が抱いているであろう感情に適したCMを提示して購買意欲の向上につなげるといった具合だ。
クリエーティブは感覚で作るマス広告全盛時代から根拠が要求されるデジタル広告時代へ。NTTデータは一つの解を提案する。
(2023/12/28 12:00)
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