(2024/1/24 12:00)
三陽工業(兵庫県明石市、井上直之社長)のダイバーシティー(多様性)は「やったことがないことをやってみよう」の企業理念を体現している。雇用実績がなくても、業務とマッチングすれば、年齢や国籍、障がいの有無にかかわらず採用してきた。一人ひとりに合った仕事や職場環境を築くための挑戦を続けることで、多様な人材が活躍する企業としての成長を進める。
三陽工業は2輪車や自動車部品などを研磨・塗装する製造業と、製造現場への人材派遣事業を手がける。
兵庫県内に立地する製造拠点では多様な人材が共に働く。例えば、同社に在籍する65歳以上のシニア従業員25人のうち約10人が、工場で部品の研磨作業に携わる。そのうち3人は外国人材だ。技術力や経験を持つシニアと外国人材、若手が協力しながら同じ環境で研磨作業に従事する。
物流施設では約20人の障がい者が個装や梱包(こんぽう)で活躍する。ただ、特別な作業工程やマニュアルは設けていない。「障がいを持っていても、業務を通して成長する」(小杉義明取締役人材戦略部長)ため、同じ業務を任せるのではなく、個々のスキルを見極めて作業を任せている。
一方で現場には作業指導者が常駐。作業中に従業員が助けを必要とした場合には、作業指導者からアドバイスを受けられる体制がある。作業マニュアルは誰でも分かるように説明を細分化したり、月1回のミーティングで働く環境の改善について話し合うなどの取り組みも行う。
現場従業員がダイバーシティーを理解し、「同僚一人ひとりに配慮する心を持つこと」(同)が多様な人材が活躍できる会社の実現に必要という。同社では日報や経営陣と従業員の座談会を通じて、全従業員でダイバーシティー実現に挑戦する意識の共有に努めている。
現在、障がい者の雇用を増やすため、新規事業の立ち上げを進めている。特例子会社を設立し、野菜などの栽培を手がける。作業工程のシステム化などにより、さまざまな障がいを持つ人でも継続的に働ける環境の整備に挑戦する。新規事業を確立させて、多様な人材が働くことを「会社の強みにする」(同)決意だ。
(2024/1/24 12:00)
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