24春闘/労使交渉スタート 経団連会長「できる限りの賃上げを」

(2024/1/24 17:00)

  • ビデオメッセージで開会あいさつする十倉経団連会長

経団連は24日、都内で「労使フォーラム」を開催し、2024年春季労使交渉(春闘)が事実上スタートした。物価上昇を上回る賃上げが実現し、デフレから完全脱却できるか日本経済は大きな節目にある。中国訪問中の十倉雅和会長は「物価動向を重視し、ベースアップ(ベア)を念頭に置きながら自社に適した方法でできる限りの賃上げをお願いしたい」とビデオメッセージを通じて呼びかけた。

大幅な物価上昇局面にあった23年春闘は大手平均の賃上げ率が3・99%となり、30年ぶりの高水準の賃上げが実現した。24年はこうした動きが安定的に継続し、かつ中小企業に広がるかが焦点となる。連合は24年の賃上げ目標を全体で5%以上、ベア3%以上を掲げ、産業別労働組合(産別)からも過去最高水準の要求方針が相次ぐ。かつてはベアに慎重姿勢だった経団連も「ベアを念頭」と踏み込む。労使交渉を前に早くも大手企業の経営側からは23年以上の積極的な賃上げを表明する動きもある。

ただ、厳しい収益環境にある中小企業がどこまで追随できるかは予断を許さない。中小の賃上げには人件費を含む労務費の上昇分の価格転嫁が不可欠で、政府も後押しするが、浸透は途上だ。同日のフォーラムでも十倉会長は「価格転嫁やアップに対するネガティブな意識を社会全体で変えていく必要がある」と取引適正化の重要性を訴えた。サプライチェーン(供給網)が広範な自動車総連の金子晃浩会長は「できる大手が賃上げすればいいのではなく、中小(組合)や非加盟組織にも波及させることが我々の役割」との認識を示した。

日銀は春闘の動向を見極めながら金融政策の正常化を検討する。植田和男総裁は23日の記者会見で、賃金上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる目標について「実現する確度は少しずつ高まっている」と述べた。

(2024/1/24 17:00)

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