顧客の期待超える提案を 小森精機社長・服部直樹氏に聞く

(2024/1/24 12:00)

機械部品から金型部品、治工具、ゲージ、工業用刃物、精密組み付けまで手がける小森精機(岐阜県各務原市、服部直樹社長)。「マイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位の加工技術」「ハイレベルな技術者集団」を掲げ、他社や一般的な技術ではできない精度の提供を真正面から打ち出す。27人の社員のうち、製造現場で働く19人が国家技能士資格を保有。人材育成の進め方、考え方を服部社長に聞いた。

―精度や難易度の高さにチャレンジする、むしろ難しさに奮い立つような社風ですね。

「おそらく全員がそうした気持ちを持っていると思う。そのために例えば高価な加工機械が必要だった場合、技術の向上につながると判断できれば必要な投資はどんどんやる。受注ロットの大半が10個以下という中で顧客のアイデアに対し期待を超える提案ができるか。付加価値を提供していくには設備や技術、人材への投資が欠かせない」

―技能や技術の高さを追求するあまり、仕事が属人的になってはいませんか。

「確かにその傾向はあった。変わったのはコロナ禍を経験してから。コロナ禍が始まった当初、製造現場は全員の出勤はできなくなった。二つのチームに分け、週5日のうちそれぞれ週に2日出社、残り1日は両チームとも出社とした。『少しずつ、一歩ずつでいいから進めてみよう』と皆に語り続け、この体制で何とかこなしていくうち、以前は『これはAさんにやってもらう高精度な加工』と工程を限定して考えていたものが、その時にいるメンバーでできるベストな方法を考えるように変わった」

―もう少し具体的なイメージを。

「例えば案件によっては、精度よりは納期の早さを強く求めるものがある。この場合はAさんの出社を待たなくてもできるかもしれない。ではAさんなしでできる別の方法を考えてみる。一人ひとりの具体的な技術向上、マルチスキル化は確かに追求、実施していったが、その場面場面でベストな方法を考えるということ。その結果、実現のための選択肢をたくさん持てるようになった。高い技能でそれをこなすのが小森精機のプロの仕事だ、となってくれたら何より素晴らしいことだ」

(2024/1/24 12:00)

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