(2024/2/6 05:00)
中国経済の一段の減速が懸念される。国際通貨基金(IMF)は、中国政府による不動産開発企業の再編が遅れると2024年と25年の実質成長率が3%台に低下すると予測する。中国は不動産不況の長期化と雇用不安に見舞われ、デフレ懸念が指摘される。中国経済の停滞は日本企業にも影響が及ぶ。習近平政権が3月の全国人民代表大会(全人代)で設定する24年の実質成長率目標を注視したい。
IMFは中国の実質成長率が24年に4・6%、25年に4・1%に低下すると予測する。不動産事業への対応が遅れれば24年の成長率は1・0ポイント、25年は0・8ポイント下振れするとみる。
国内総生産(GDP)の3割を占める不動産関連事業の低迷により内需が縮小し、23年12月の消費者物価指数は3カ月連続で前年同月を下回った。同月の16―24歳の失業率は14・9%に達する。地方政府による23年の土地使用権の売却収入は前年比12%減と落ち込み、地方財政の一段の悪化も懸念される。
不動産大手の中国恒大集団に対し、香港の高等法院(高裁)が1月29日に清算命令を出した。IMFは恒大などの不動産開発企業の早期処理や建設中の物件の完成・引き渡しの必要性を訴える。3%台の成長に沈まないためにも対策を急ぎたい。
中国政府の不動産不況への対応は鈍い。23年に開かれるはずだった中国共産党の中央委員会第3回全体会議(3中全会)も開催されず越年し、経済政策の方向性は示されていない。3月5日に開く全人代では、内需喚起の対策が打ち出されるのか、24年の成長率目標が5%前後を下回るのかを注視したい。
中国進出の日系企業で構成する中国日本商会によると、5割弱の企業が23年10―12月期に減収・営業減益となり、約4割の企業が24年の中国の景況は悪化すると予測する。他方、23年に4年ぶりに減少した対中輸出についても24年は期待しにくい。
習政権が経済よりも統制強化を優先し、経済も「国進民退」が続く中で、成長軌道を描き直すのは難しい。習氏はまずIMFの警告に耳を傾けるべきだ。
(2024/2/6 05:00)
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