リンナイ、品質第一貫く 製品安全へ独自基準策定

(2024/2/26 12:00)

製品安全にかける原点を「品質こそわれらが命」とリンナイの中島忠司常務執行役員品質保証本部長は強調する。この言葉は内藤明人前会長(故人)が、ミスが許されない航空機製造の現場から学んだ製品安全への思いだ。ガス器具も飛行機製造と同じで製造ミスは重大事故につながる。さらに品質には、快適な生活を提供する意味も込められているという。中島常務は「不良品を出さないだけでなく、安心安全な使い方を呼びかける活動も品質の一環だ」と話す。

  • 安心安全な使い方を呼びかける活動も品質の一環(リンナイ本社)

安全思想を社内文化として醸成する活動として実施しているのが、朝礼での倫理綱領の唱和だ。「コロナ禍で一時的に自粛したが、全社員が安全への取り組みを毎日確認することで、自然と身体に染み込んでいく」(中島常務)と品質第一を重視する姿勢を語る。

現在は他業界のさまざまな製品を含め、自社製品に関連し得る製品事故の事例と再発防止策を収集する仕組みをつくり、これを反映させた独自基準を策定することで業界水準を超える製品安全を実現している。

安全への取り組みは日々の積み重ねにあるという。製品は火災、爆発、感電など重大な危害に結び付くことがあるだけに、商品企画、開発の段階から量産まで、品質保証部が参画して安全面からアドバイスする。品質を担うスタッフは大半が企画開発部門の出身者で構成しており、関係部門と対立が起きることがない。中島常務は「目的意識を共有しているだけに各部門と一心同体のような関係ができている」と胸を張る。

生産部門では、ヒューマンエラーが重大事故に結び付く部品を「重要保安部品」と位置付け、その製造に関わる工程を「重要工程」と指定。設計から部材、人、設備や異常処理など全てを厳格に管理し、海外を含めどの事業所で生産しても安全性・保証レベルが同一になる仕組みを構築した。

  • 「品質こそわれらが命」と話す中島常務執行役員品質保証本部長

製品が安全に使われるよう周知する一方で、重大事故を踏まえた対策としてガス湯沸器の有資格者設置とガス漏れ、経年劣化製品の早期修理と買い替え促進など、工業会を通じ施工業者や消費者に伝わるよう努めている。

リンナイが今後の課題とするのが高齢化社会への対応だ。ガスコンロはセンサーを搭載して消し忘れや高温になると自動で火が消える仕組みが備わっている。さらに、全ての人が安心できる品質の製品をつくるため「高齢者の方にも安心安全に使ってもらえるガスコンロの開発に着手した」(同)と語る。時代に沿う製品安全にも積極的に取り組んでいる。

(2024/2/26 12:00)

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