(2024/3/5 12:00)
埼玉大学は2023年度に、デジタル変革(DX)などを議論するプロジェクトチーム(PT)を発足。実行部隊となる経営企画推進課も新設した。現在は、手書き伝票が格段に多い経理部門の購買システム構築や、学生への謝金払い向けアプリケーション開発などの案件に取り組んでいる。電子化は業務効率化だけでなく、テレワーク推進などの働き方改革に貢献すると考えている。
大学事務の活動は、学生への教育サービスと教員の研究支援の優先度が高い。事務職員らはこれらとのバランスを取りながら働いている。そのため「仕組みのどこかに負担があると、多忙な部局の現場に不満がたまって進まなくなる」と埼玉大の松田典明理事・事務局長は見る。
経営企画推進課はシステムやツールを使いやすく整えて渡すのがミッション。同大は他の国立大学と比べ、学生1人当たりの事務職員数が少ないだけに、「『便利だね』『変わったね』との声が上がり、自然に継続されるようにしたい」(松田理事)と考える。
現在進行している大型案件は、手書きの書類が圧倒的に多く、テレワークでもネックとなる経理部門の電子化だ。財務会計処理のシステム化は一般的だが、大学の購買ではシステム化が遅れている。「外部資金による研究費など、教員ごとにどの予算枠を使うか特定が必要で、民間に比べ細分化されているためだ」と川上糧佑課長代理は説明する。しかしPTでも重要課題に挙がったため、購買システム構築を企業と協力して進めている。
教員などの物品購入において求められるのは、見積書、納品書、請求書、発注書の4点だ。発注書は年間4万2000件、1件当たりの書類作成に3―5分かかる。購買システム上での購入、予算管理ならば、共通データが電子的に処理・保管でき、手書きでのミスも起こらない。
高額な物品もあるため、会計伝票が経理から財務に回る間にはチェックに5―8人が関わる。これが紙1枚ずつでなくデータ一覧で済むようになれば効果は絶大だ。24年度中の実現を目指している。
似た形なのが、教職員からの依頼で業務を行った学生に支払う謝金の手続きだ。学生は内容報告の書類を作成し、教員の押印をもらい経理課へ持参する。手書きで書類を作成するためミスも多い。
そこでマイクロソフトのサービスを活用し、承認や提出がアプリ上で進められるようにしている。現在は年間4300件の手続きに、1件当たり15分かかっているため「約1075時間分の業務が削減できそうだ」と斉藤聡太課員は計算する。
職員が受ける数多くの問い合わせに対しては、学生、教職員、外部向けにそれぞれウェブサイトでチャットボットを稼働させている。質問項目を選択するボタン式でなく、フリーキーワードでの検索が好評だ。例えば「大雪」で検索すれば休講や補講の情報が引き出せる。電話やメールでの問い合わせに対応する時間が相当、圧縮できたとみている。
(2024/3/5 12:00)
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