(2024/4/17 12:00)
メタルアートは高精度で複雑な形状の鍛造部品を手がけ、自動車のエンジン・変速機用や産業機械向けに納めている。用途に適した鍛造技術と機械加工で一貫生産し、短納期・低コストも強み。最大株主のダイハツ工業向けが売上高の約30%を占める。友岡正明社長は「ダイハツに鍛えられ小型でコスト競争力の強い部品を作ることができる」と強調する。
新たな需要を開拓するため、電動車用モーターなどの回転部分の鉄心(コア)を製造する工場棟を2月、水口工場(滋賀県甲賀市)に新設した。自動車の電動化が進めば、売上高の80%に上る自動車鍛造部品の仕事は大幅に減る。そこで培ってきた技術や新工法を結集し、モーター事業に挑むのが狙いだ。
モーターコアは回転するローターコアと外側のステーターコアからなる。プレス加工で打ち抜いた電磁鋼板を積層後、溶接してコアに成形する。鍛造と同様、完成品まで一貫生産する。成形力330トンの大型プレス機と測定機を導入したほか、2024年末までに金型の保守や磁石の封止・溶接、熱処理などの後工程も整える。積層の接合手法は日本車仕様のカシメ、米欧など海外車仕様の接着剤と両方そろえる。「ローターとステーターのコアをセットで計画では月に最大4万個作る。顧客の試作を始めたが、25年から受注したい」(友岡社長)と意気込む。
同社は既にモーターシャフトも製造し、深穴のある高難度なシャフトを温間鍛造と機械加工で量産できる技術開発を目指す。将来はコアにシャフトを組み付けるまで事業化する。コアは一般に単品注文が多いが、モーターを設計から技術評価までこなす実力も身に付け、受注を伸ばす。「メタルアートがそこまでやれるならモーター開発から一緒にやろうよと、顧客に頼られるようになりたい」(同)。鍛造だけでは先細りで付加価値も上がらず見通しが厳しい。開発から入り込み高機能で価格競争力の強いモーター事業を成功させ、難局にチャレンジする。
(2024/4/17 12:00)
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