ネクスト・ロジスティクス・ジャパン、荷役自動化で物流最適化目指す 荷姿標準化で積載率最大化

(2024/4/25 12:00)

運転手の残業上限規制で今まで通り荷物が運べなくなる「2024年問題」。ネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、東京都新宿区、梅村幸生社長)は課題に対し、運転手だけでなく物流結節点(クロスドック)での荷下ろし、搬送、積み込みといった荷役作業の省人化にもアプローチし、輸送工程全体での最適化を目指している。自動運転技術などと比べるとあまり注目されずにきたが、改善が進めば物流最適化に大きな効果をもたらすポイントだ。

  • 自動運転フォークリフトと自律走行搬送ロボットを用いた自動荷役作業。有人での作業比で66%省人化が可能だ

NLJは少ないトラックで多くの荷物が運べるように二つの荷台をつないだ「ダブル連結トラック」を活用し、異業種の荷物の混載輸送に取り組んでいる。荷主から届く荷物をクロスドックで一度下ろし、異業種の荷物をダブル連結トラックに効率良く混載(積み替え)する必要がある。

イノベーション事業室の松本浩司室長はこうした荷役作業を「運転手が担う業種もある」と指摘する。そこで同社は輸送業務で、自動運転フォークリフト(AGF)と自律走行搬送ロボット(AMR)を用いた自動での荷下ろし・荷積みを検証。有人の荷役作業と比べ66%省人化できる結果を得た。

一方でかかる時間が有人の1・5倍なのが課題で、自動技術チームの下高原寛マネージャーは「運転手の拘束時間を考えると人と同等の速さにしないといけない」と話す。

荷物に合わせ多種多様な緩衝材を用いていたため、自動の荷役作業中の落下や干渉域への侵入が荷役時間の増加につながっていたことを踏まえ、輸送品質を確保し着脱を簡素化できる新たな緩衝材を開発した。

  • 輸送品質を確保し着脱を簡素化できる緩衝材も開発した

自動荷役をしやすく、かつトラックの積載率も最大化できるよう荷姿の標準化にもフォーカスする。同社で取り扱う荷物の多くをカバーできるパレットの広さ3種を設定し、各パレットごとに高さ1100ミリメートル、1300ミリメートル、1500ミリメートルと合計9種類の荷姿を標準に定めた。荷主とリードタイムを調整して行った検証では、単車3台分の荷物をダブル連結トラック1台で運び、業界平均が39%の複合積載率を88%に高めることができた。

同社は量子コンピューターを活用し、トラック積載貨物の最適な組み合わせを40秒で導き出すシステム「NeLOSS(ネロス)」も開発中だ。自動荷役、荷姿標準化の取り組みと連動し、荷物情報を一元化してネロスとの連携に向け物と情報の流れを明確化する。今後さらに車両や荷物の情報と連携したシステム環境の構築に取り組む方針だ。

(2024/4/25 12:00)

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