(2024/5/14 05:00)
政府は13日、グリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議を再開し、電力供給の拡充策について議論を始めた。生成人工知能(AI)の普及により、電力消費の急増が見込まれる中、環境と両立する「脱炭素電源」を拡充する。2040年に向けた国家戦略と位置付ける。安価な電力の安定供給は産業競争力に直結するだけに、確かな道筋を示してもらいたい。
日本は人口減に伴って、消費電力が中長期的に減少するとみられていた。だが生成AIの普及に伴うデータセンターの活用は急増し、AIを支える半導体の製造にも大量の電力が必要になる。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、世界のデータセンターの電力消費量は26年までに倍増するという。
一方、日本は50年までに温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロを目指しており、脱炭素電源を十分に確保する必要がある。日本のエネルギー自給率は1割強に過ぎず、地政学リスクへの対応力も高めておきたい。
GX実行会議では、原子力や再生可能エネルギーなどでの電源確保を検討し、電力の安定供給と脱炭素を両立させる。原発や再生エネの発電所が多い地域に半導体産業を集積したり、地方の再生エネ発電所と都市を結ぶ送電線の整備も検討。排出量取引の制度設計も進める。曲がる太陽電池「ペロブスカイト」や浮体式洋上風力発電への投資を促す政府支援も期待される。
経団連も電力供給体制の強化を政府に求めていた。原子力の最大限の活用、再生エネの供給拡大、次世代革新炉や蓄電池の開発の必要性を訴える。政府は経団連の提言にも耳を傾け、最適な電源構成を模索したい。
政府はGX実行会議での議論を、24年度中をめどにまとめる「第7次エネルギー基本計画」に反映させる意向だ。だが課題は少なくない。第6次エネ計画では30年度に原子力20―22%、再生エネ36―38%の電源構成を目指すが、22年度は順に5・5%、21・7%にとどまる。原発政策を転換した岸田文雄政権が前面に立ち、地元の理解を醸成する実行力も発揮してほしい。
(2024/5/14 05:00)
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