(2024/5/22 05:00)
政府の対日直接投資推進会議は13日、海外から人材・資金を呼び込むため、重点的に取り組むべき4項目をまとめた。海外企業は東南アジアやインドなどの高度IT人材を求めており、こうした人材の日本招致を加速し、対日投資を促す。日本での法人設立の手続きを英語で行える施策も検討する。2024年度中に実現に向けた調査・検討に着手するという。効果的な対策が講じられると期待したい。
政府は23年4月、「海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」をまとめ、100の施策が打ち出された。今回、同推進会議は4項目・10施策を今後重点的に取り組むことを決めた。①日本での投資機会の拡大②高度人材の確保③海外企業との協業促進④ビジネス・生活環境の整備―の4項目で効果的な措置を講じるという。
注目されるのが高度人材の確保。半導体などの重要分野で、海外ではいかに高度人材を育成確保しているのか、24年度中に日本との比較調査を行い、25年度に必要な措置を講じる。日本人の高度IT人材の育成につなげたい。加えて東南アジアやインドの人材も取り込み、外国企業に選ばれる環境を整えたい。
日本への在留資格制度の見直しも24年度中にニーズ調査を行うという。優秀な留学生の受け入れ拡大も含め、必要な措置は積極的に講じてもらいたい。
日本企業と海外企業の協業を促すため、経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)が立ち上げた「J―Bridge」を通じたマッチング支援を促進する。他方、日本での法人設立に必要な書類の英語化など、国家戦略特区での取り組みも今夏ごろまでに検討。ビジネス上の行政手続きの簡素化も進めたい。
日本経済は「失われた30年」で低成長が続き、国内でのコスト削減と海外への生産移転が進んだ。国内投資が停滞し、イノベーションより新興国との価格競争が優先された。地政学リスクの高まりで国際的なサプライチェーン(供給網)が再構築される今、円安をむしろ追い風に対日投資を促し、日本経済は拡大均衡の成長軌道を描きたい。
(2024/5/22 05:00)