(2024/5/22 12:00)
トラックや特殊車両、発電機用部品のプレス、溶接加工を主業務とする野口工業(神奈川県綾瀬市、野口博永社長)は、2021年に多軸ロボット2台による自動溶接ラインを導入した。加工対象物(ワーク)を裏返して両面を溶接できるよう、中空の治具やポジショナー2台を取り入れて作業を効率化。併せて、信号灯の色をカメラで判別し稼働状況を把握する独自の生産管理システムも活用し、ラインの効率運用につなげている。
野口工業はプレス部品やアセンブリー部品を約600種類、月間約12万個出荷する多品種少量生産の中小メーカー。不良品ゼロと生産性向上に向けて、18年ごろからロボットによる自動化やIoT(モノのインターネット)活用に取り組む。21年に第2工場(神奈川県綾瀬市)で導入した多軸ロボット2台による「次世代型溶接ライン」は、幅約6×奥行き約3メートル。主にトラックシート用フレームの溶接作業を担う。
ロボットや溶接電源は安川電機製。仕上げなどの後工程を最小限に抑えるため、高性能のロボットを採用した。ワークを治具にセットすると、2台のロボットが約20カ所を溶接する。治具は2台で、作業者が片側のワークを設置している間に、もう片側でロボットが溶接作業を完了する。ロボットは直動装置により2台の治具それぞれの近くに移動するため幅広い作業が可能で、ライン全体を1人の作業者で管理できる。
トラックシートのフレームは左右で形が違うが、ポジショナーでワークを自動で裏返し両面を溶接するため、「人手で裏返すなどの手間もなく、既存のロボットラインで8分かかる作業を3分で行えるようになった」(野口社長)。ロボットの作業はプログラム次第で柔軟に対応でき、治具を入れ替えることでシートフレーム以外の生産も可能だ。
生産管理には独自のシステム「DAIQ(ダイク)」を導入。カメラでラインに設置した信号灯の色を読み取り、「稼働中」「段取り替え」といった情報をタイムリーに把握できる。特許取得済みのアルゴリズムによる人工知能(AI)で、設備、製品の動きを学習する。初回受注や久しぶりに受注した部品を生産する時など作業員に注意喚起するほか、勤怠や設備稼働率、素材欠品、未納といった情報も定期的に毎日配信。効率的な生産ラインと組み合わせ、生産性を高めている。
今後は「AIの精度を高め、溶接の仕上がり確認の自動化も検討する」(同)とし、生産ラインの最適化を進める。
(2024/5/22 12:00)
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