岩瀬鉄工、ロボット活用を拡大 転造工程導入で安全性・品質向上

(2024/6/3 12:00)

岩瀬鉄工(愛知県西尾市、岩瀬晃浩社長)は、自動車用ドライブシャフトの生産が主力だ。切削、熱処理、塗装工程などにロボットが入り、安全性と正確さで品質を作り込む。ドライブシャフト生産で初めて導入したロボットは、3年前に新規受注した変速機部品ラインでも導入。2023年はベアリング部品のバリ取り工程に取り入れた。新規事業の立ち上げとともにロボットの活用が広がっている。

  • 2023年に導入したバリ取り工程のロボット

「自動化の歩みは1980年代に数値制御(NC)旋盤を取り入れてから」と製造部の尾崎崇部長は振り返る。以来、ロボット導入まで30余年。きっかけは2003年に導入したドライブシャフト一貫ライン。「チョコ停の連続だったが、ノウハウを蓄積できたことがロボットに生きた」(尾崎部長)。

初めてロボットを入れたのは13年の熱処理工程。それまで搬送機と一体だった同工程は、やはりチョコ停が多かった。油などでシリンダーが詰まり搬送機が停止し、ティア1(1次取引先)への部品供給が危ぶまれたことも。「ロボットを導入したことで熱処理と搬送の工程を分離できたのが大きな成果」と岩瀬社長は話す。

「プログラムの変更だけで段取り替えができるのもうれしさの一つ」(尾崎部長)。導入当初はティーチングを覚える難しさがあったが、今となれば段取り時間が短縮し強みになっている。

24年は転造工程へのロボット導入を狙う。老朽化した搬送機をロボットに置き換え稼働率を上げる。「単純作業のため導入効果は大きい」と製造部の井上晋一次長は期待を寄せる。25年夏には愛知県西尾市内に新工場が立ち上がる。「ロボットには安全対策、正確さなどのメリットがあるが、スピードは人の方が勝ることも」(岩瀬社長)。最新工場と言ってもロボット化は適材適所の方針だ。

「ティア1に勝てるくらいの生産技術を持たないと取引先として認められない」(岩瀬社長)。ロボットとともに築く生産ラインは、選ばれる部品メーカーとしての生き残り策の一つだ。

(2024/6/3 12:00)

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