インタビュー/エステー執行役製造本部担当・内藤英紀氏 多様化・原料高に分散手当て

(2024/6/6 12:00)

―消臭芳香剤や防虫剤といった日用品を展開し、調達する原料・資材などは多岐にわたっています。

「生産調達部購買チームが担当しており、原料系で香料やアルコール、化学原料などの薬剤のほか、軽包装材・紙箱、プラスチック容器・資材、段ボールなどが対象となる。一般に日用品は原材料の占める割合が比較的大きい。当社の場合、2023年度(24年3月期)の売上原価は約280億円だった」

―調達の課題は。

「調達リスクが多様化している状況への対応だ。原材料価格が上昇しているほか、リードタイムも延びる傾向。円安の影響への対応が必要になっている。さらにCSR(企業の社会的責任)・グリーン調達を推進するとともに環境コストの抑制も課題になる」

―原材料コストはどのくらい上昇していますか。コスト上昇の低減策は。

「23年度の原材料コストは資源価格の上昇などに伴い15億円ぐらい上昇した。これを販売価格の改定によりカバーしバランスは取れている。しかし今後も営業利益を確保するため原価低減の活動は欠かせない。例えば商品スペックや中身(薬剤)の処方を変更したり、プラスチック使用量を減らしたりするほか、生産において省人化・効率化投資をしたり、エネルギーコストを下げたりする」

  • 原料の安定供給のため複数の調達拠点を設ける(高機能芳香剤「消臭力プレミアムアロマForSleep」)

―外部環境の変化による調達の不安は。

「ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の悪化により、船の航路変更でリードタイムが延びたり、海上運賃が上昇したりする。欧州などからの輸入原料・製品では懸念がある。安定調達のため主力商品の原料では早めの手当てで対応するのに加えて、複数の調達拠点を設けてリスクを分散している。これは為替の影響を抑えることにも活用できる」

―調達での脱炭素の取り組みは。

「独自の環境保全基準がある。基準をクリアした製品に『みんなでエコマーク』を付与しており、付与率は現状7%ほどだが、30年に50%を目指す。バージンプラスチック使用率も90%超から70%以下にする目標だ」

(2024/6/6 12:00)

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