(2024/6/13 12:00)
ハコベル(東京都中央区、狭間健志社長)は、運び手と荷主のマッチングサービス、運行管理などのシステム提供で物流の効率化、高度化を提案する。ラクスルが2015年に始めた事業を分社した後、セイノーホールディングス(HD)が50・1%を出資し22年8月に新会社として再出発した。社会全体で物流網や関連インフラを有効活用するセイノーHD提唱の「オープンパブリックプラットフォーム」に共鳴。持続可能な物流を志向する。
「ハコベル運送手配」は、トラックの稼働率を高めたい物流会社・個人事業者と、必要時だけ低コストに利用したい荷主のニーズをマッチングするサービスだ。23年8月時点で会員約1万7000社、トラック約5万台が登録。荷主は車両の大きさ、利用する距離や時間を選択できる。即日などの緊急配送にも対応。軽ワゴン車の場合で99・4%と成約率は高い。
もう一つの事業が「物流DX(デジタル変革)システム」の提供だ。ルートを立案する「配車計画」、配車指示を支援する「配車管理」、トラックの走行位置をリアルタイムで把握する「動態管理」により、人の経験や勘に依存していた業務を簡素化する。
荷主にはさまざまな課題の改善を提案し、配送業務の受託もする。ハコベル運送手配に登録する運送会社・個人事業者には、燃料や物資の会員価格での販売、保険などの提供で経営も支援する。
ラクスル時代のハコベル事業は、21年7月期に前期比34・5%増の29億円の売り上げがあった。ただしシステムへの先行投資がかさみ営業赤字が継続。知名度や信頼度も課題だった。「ITベンチャーに物流が分かるのかとの声もあった」(担当者)という。
その後のセイノーグループ入りは「ポジティブな変化ばかり」(同)だ。セイノーのブランドや営業網を生かし、物流現場のリアルも学ぶ。「物流への本気度を理解してもらえた」(同)。課題だった全国展開も進め、成長性を維持している。セイノーHD傘下の西濃運輸(岐阜県大垣市)の担当者も「地元の既知の運送会社限定だった緊急配送の依頼が全国で自動でできる。対応の幅が広がった」と提携の効果を説く。
今後の課題は全国ネットワークの強化と提供価値の高度化だ。ハコベルの担当者は「課題解決のソリューションを全国で提供したい」と話す。「物流の2024年問題」もチャンスととらえ、セイノーHDとともに「物流の次」に挑む。
(2024/6/13 12:00)
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