産業春秋/定額減税はタンス預金にしないで!

(2024/6/13 05:00)

所得・住民税が1人当たり4万円減税される定額減税が6月から順次、実施される。実質的な賃上げとなり、ちょっとリッチな外食や旅費の一部に充てる人が増えるだろうか。政府は、定額減税が家計の節約志向を緩和させ、消費拡大につながると期待する。

2024年春季労使交渉(春闘)で大幅な賃上げの動きが広がり、4月の基本給は前年同月比2・3%増えた。だが物価上昇で実質賃金は同0・7%減り、25カ月連続のマイナス。いまだ物価上昇を上回る賃金上昇に至らない。

4月の消費支出は前年同月比0・5%増と、14カ月ぶりのプラスとなったが楽観できない。コロナ明けで大学授業料の支払いが増え、例年より気温が高いため夏物衣料を早めに購入したという。食料や旅行などはマイナスが続く。

電気・ガス料金は6月使用分から引き上がる。政府の補助金が終わるためだ。前年の7月と比べ、平均的な家庭で電気は1000―2千数百円、ガスは数百円ほど上がる。

新紙幣が7月3日に発行されるとタンス預金が減るという指摘がある。新札に両替した際、一部が消費に回るのだろうか。少なくとも定額減税分は貯蓄やタンス預金に回さず消費に充ててほしい。

(2024/6/13 05:00)

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