(2024/6/20 12:00)
西濃シェンカー(東京都品川区、オン・シュウウェイ社長)は、2040年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、脱炭素燃料の調達・販売を本格化している。持続可能な航空燃料(SAF)の供給を23年8月に始めたほか、船舶用の海上バイオ燃料の販売も24年4月にスタートさせた。環境意識の高い荷主からの要望に応えるため、二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料供給に一段と力を入れる。
西濃シェンカーはドイツ鉄道(DB)系の物流世界大手である独DBシェンカー(フランクフルト)と、西濃運輸の持ち株会社、セイノーホールディングスの合弁会社。主に貨物の海上・航空輸送、通関業務、コントラクト・ロジスティクス業務を手がける。DBシェンカーはいち早くSAFに取り組んでおり、西濃シェンカーも23年始めから、メーカーや商社など荷主に対して採用を働きかけてきた。
同社が手がけるSAFや海上バイオ燃料は、ともに廃食油である使用済み調理油由来のメチルエステル(UCOME)が原料。こうした植物由来原料は、光合成をする際に大気からCO2を吸収しており、燃焼によりCO2を排出しても、大気中のCO2は増えないとみなされる。
SAFはジェット燃料に比べてCO2を80%削減する。100%でないのは、SAFを輸送する際にCO2を20%程度排出してしまうためだ。
製造コストの安い欧州やアジアで大量に購入し、全世界の荷主に提供する。これまでに1万3000トンを調達した。一般的に製造コストはジェット燃料と比べて割高になるため、利益を乗せずに販売する。さまざまな航空会社・路線で利用できる。
「環境に配慮して作られた製品が欧州ではスタンダード化されつつある」と塩田尋之執行役員は解説する。SAFを追加購入してCO2を100%削減する商品や、CO2削減比率を任意に選択できる商品も用意している。
一方の海上バイオ燃料は仏CMA CGM(マルセイユ)、独ハパックロイド(ハンブルク)、スイスのMSC(ジュネーブ)という三つの船会社との契約で、日本の船会社は使えない。
海上バイオ燃料の場合、重油に比べてCO2を84%削減する。すでに外資系商社などと取引を始めており、SAFと同様に現在は利益を乗せずに販売している。
(2024/6/20 12:00)
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