日銀、国債買い入れ3兆円に減額へ議論 あすから決定会合

(2024/7/29 17:00)

  • 国債買い入れ減額とともに利上げについても議論を進める

日銀は30、31の両日、金融政策決定会合を開く。国債買い入れ減額の具体策を公表し、向こう1年から2年程度の毎月の買い入れ額について、現状の6兆円程度から3兆円程度に減額する内容を軸に議論する方向だ。追加利上げの有無も判断するとみられる。足元、個人消費が低迷している中で日銀が賃金・物価・消費の状況をどう見極めるのか、結果が注目される。

日銀は9、10の両日に国債買い入れ減額について市場参加者からヒアリングを行った。議事要旨の記載内容には減額の幅についてゼロまでから5兆円程度までと幅広い意見があった。

日銀の長期国債残高は現在590兆円規模で、全体の約5割に達する。日銀の大量保有は国債市場をゆがめ、財政規律を乱すなどの弊害が指摘されており、「長期金利がより自由な形で形成されるよう長期国債買い入れを減額していく」(日銀)方針だ。

ただ、大幅な減額に着手すると長期金利への影響が大きいほか、保有残高を減少させた分を民間で十分に消化できないリスクも生じる。「2年後の月間買い入れ額は2兆―3兆円程度」が市場参加者のコンセンサスとなっているもようだ。

みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは民間の日銀保有国債代替余力を「100兆―200兆円程度にとどまる」と推計。月間3兆円まで減額した場合、100兆円減少するのに2年半程度と試算する。

日本経済は物価高を背景に個人消費が力強さを欠く。物価を反映した実質賃金は26カ月連続マイナスだ。三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「個人消費の弱さが気がかりな中で利上げできるかが一つの焦点」とみている。

また「国債買い入れ減額計画決定と追加利上げを同時に行う可能性は低い」(市場関係者)との見方もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大島一宏チーフエコノミストは「日銀は長期金利に想定外の影響が及ばないよう慎重を期する」と読む。

(2024/7/29 17:00)

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