ランテック、物流 鉄道・フェリーにシフト 冷凍冷蔵品強化へ中継拠点整備

(2024/8/1 12:00)

ランテック(福岡市博多区、舛元健了社長)は定温物流に特化した総合物流企業だ。全国に30拠点を置き、トラックやトレーラーは1156台(2024年7月時点)を保有する。トラックの長距離輸送に中継輸送を導入したほか、JR貨物による鉄道輸送やフェリーによる海上輸送へのモーダルシフトを進める。フェリーを活用する無人セミトレーラー海上輸送への切り替えも展開し、独自の冷凍冷蔵輸送を推進する。

  • JR貨物専用31フィート冷凍冷蔵コンテナ。トラック輸送と比べてCO2排出量を大幅に削減する

中継輸送はドライバーが荷物を積んだ車両を中継地点で乗り換える仕組み。現在全国64ルートを運行する。福岡発大阪着の幹線輸送の場合、福岡支店と大阪支店との中間地点にある広島支店に向けて同時刻に出発し、同支店で合流する。

福岡発のドライバーは、大阪発の車両に乗換えて福岡に帰る。大阪発のドライバーは荷物を積んだ車両に乗換えて大阪に輸送する。ドライバーは所属支店をそれぞれ22時に出発して翌朝8時には各支店に戻り、毎日の帰宅が可能となった。

鉄道やフェリーを活用するモーダルシフトは、ドライバー不足への対応や二酸化炭素(CO2)の削減に貢献する。自社で所有するJR貨物専用31フィート冷凍冷蔵コンテナは、24年時点で180基。トラックから鉄道に切り替えることでCO2排出量を約70%減らし、年間約1万5000トンの削減効果を上げた。

  • 4月に南九州の新拠点となった宮崎支店。冷凍冷蔵品の保管機能を強化した

2020年代から実施している海上モーダルシフトでは、陸上長距離輸送から無人セミトレーラー搬送への切り替えが進む。フェリーに積むのは冷凍冷蔵貨物のみで、港と集荷配送拠点間はセミトレーラーをけん引して搬送する。陸上輸送に比べ、自然災害や事故などのリスクを回避でき、省人化や環境対策も実現する。ドライバー不在時の荷物の温度管理は遠隔監視で対応。九州―関西を中心に月間500便を運行する。

冷凍冷蔵品の小口配送サービス「フレッシュ便」の需要拡大を受けた拠点の機能強化も進める。仕分け荷さばき専用の通型センターから、保管機能を持つ在庫型センターへのリニューアルや移転、新築を加速する。4月には南九州支店(宮崎県三股町)を移転して宮崎支店(同都城市)を新設した。さらに27年度までに全国6拠点の老朽化支店の移転や拡充、新設を計画する。

長野隆志執行役員経営管理本部長は「モーダルシフトへの取り組みや新拠点の整備は、ドライバーの定着やコンプライアンス(法令順守)の徹底に寄与している」と話す。

(2024/8/1 12:00)

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