KDDI、スターリンクで早期復旧 災害時の携帯通信

(2024/8/1 12:00)

  • スターリンクアンテナの重量は約7キログラムと持ち運びも容易になる

KDDIは能登半島地震の被災地で米スペースXの低軌道衛星通信サービス「スターリンク」を用いた携帯通信基地局回線の復旧対応を行った。従来の衛星通信に比べて通信速度が10倍以上向上。設置時間を同4分の1程度に抑えられ、アンテナ重量も同7分の1以下の約7キログラムになる。今後、災害時の携帯通信復旧手段として大きな役割を担いそうだ。

近年、自然災害による通信設備の被害が広域化、長期化する傾向にある。KDDIによると、2011年の東日本大震災時は通信エリアの復旧に最大111日、能登半島地震では同80日かかった。

地震などの自然災害時には土砂災害や電柱の倒壊で携帯通信基地局に電力を送るケーブルが破損。携帯通信網に不可欠な光回線も切断されるため、電源車やポータブル発電機、車載型や可搬型の基地局を設置して通信エリアを復旧させている。

だが、能登半島地震の被災地では道路に甚大な被害が発生し、復旧機材の搬入が困難な地域もあった。KDDIの大石忠央ネットワーク強靱化推進室長は「持ち運びや設置のしやすさからスターリンクの活用が(災害復旧で)目立った」と振り返る。

同地震ではスターリンクアンテナを159台配備し、光回線が切断された基地局のバックホール(中継回線)として活用した。避難所には350台を無償提供し、Wi―Fi(ワイファイ)として用いられた。KDDIは年内にもスマートフォンとスターリンクを直接通信できるサービスを提供予定。同サービスも災害対策として活用が期待される。

(2024/8/1 12:00)

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