産業春秋/株価の混乱、マインドへの影響懸念

(2024/8/9 05:00)

世界的な株安に対しトランプ前米大統領は「トランプの繁栄か、カマラ(・ハリス副大統領)による暴落か」と言い放った。11月の大統領選に向けた発言で、「カマラ暴落」のワードがネットを騒がせる。

東京株式市場の日経平均株価は5日に史上最大の下落幅、6日に史上最大の上昇幅を記録した。暴落時には日銀にも矛先が向けられ、追加利上げが早過ぎたとの指摘も聞かれた。だが金融市場の混乱は、米国景気の先行きへの不安が発端だろう。軽率な犯人捜しは慎みたい。

東京市場は株価も為替相場も落ち着きを取り戻しつつあるように映る。米国では、7月の非製造業の景気判断が改善している指標が発表され、日銀副総裁もさらなる利上げを急がない意向を示した。市場の混乱が再燃しないと期待したい。

今回の株式市場の混乱は、家計や中小企業に大きな影響を与えていないとの指摘がある。家計の金融資産に占める現預金は5割を超え、株式などは14%程度に過ぎない。中小企業にとって株式投資は無縁とみているのだろうか。

懸念されるのは“マインド”への影響だ。節約志向が続く家計の消費や、中小企業の投資が慎重にならないか、しばらく市場から目を離せない。

(2024/8/9 05:00)

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