女性リーダーの気持ち／東洋アルミエコープロダクツ取締役・伊藤文氏 「誰にも負けない知識 体得」

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大学の農学部で学んだ「リケジョ」です。食品会社に研究職で入社したのですが異動したマーケティングの仕事が楽しく、日用雑貨品を手がける東洋アルミエコープロダクツに転職しました。希望がかなってマーケティングに配属され２０１５年、担当マネージャーに就きました。まだ女性は結婚や育児の退職が多く、役職者が少なかったのです。元来負けず嫌いなので手本にならないといけない、と発奮しました。

食品や化粧の関連商品を多く企画しました。常に新しいモノを生み出すにはパワーが必要で、プレッシャーも大きい。納得できる商品が難しくなり、失意のうち、２０年に畑違いの総務の担当マネージャーへ異動しました。知識はなくゼロからの再出発で、一つひとつ仕事を理解できるよう努めました。勉強は苦になりません。メンバーの育児休暇を補わなくてはいけない時期もあり、誰にも負けない仕事の知識が身に付きました。

当社は親会社の東洋アルミニウムから出向者が多く、生え抜き社員との間で人事制度が異なっていたのです。生え抜きの処遇を改善する制度へ作り直すよう、指示されました。賃金改善などは数年かかりますが、人事制度をほぼ是正・統合し、成果を認めてもらえました。２２年には経営管理の統括ユニットリーダーに昇格しました。

そして６月、社長室に突然呼ばれたのです。取締役になるよう告げられ、「自分でよいのか」と迷いました。経営管理の視点を備えた人材が必要、と説明されました。実際に取締役に就くと職務は会社の本質であり、やりがいを感じます。努力が必要で役職も人を育てるのでしょう。

前の会社では職場で優遇されていると男性から見られ、つらい思いもしましたが、メンタルを鍛えられました。今は男性の立場ならばどう感じるかや、女性に求められる視点も分かります。ただ、家では息子に「ママは、ぐうたら」とからかわれます。外ではしっかり者を演じ、内ではバランスを取っています。