産業春秋/ブランド米はどこへ

(2024/8/15 05:00)

諸物価上昇の折、そうそう外食に行けるものでもない。せめて家でブランド米を食べようとスーパーに買いに行くと、売り場の棚はガラガラだった。

2023年産の水稲の収穫量(主食用)は前年比9万1000トン減の661万トン。ただ1人当たりのコメ消費量はピークの1962年と比べ、現在はその4割ほど。消費が減り続けているのに、なぜ品薄に。訪日観光客の増加で外食産業の需要が増えた影響という。

食料安全保障の論議では、最低限、主食のコメの自給は確保しようという話になる。ただ、農業従事者は減り続け、人口減と消費減に比例するように稲の作付面積は減っている。収穫量は天候に左右されるだけに、需給のバランスを取るのは簡単ではない。

三菱総合研究所の試算では、現状の耕地面積だと、非常時にイモ類中心の作付けをすれば、ぎりぎり国民は飢えないという。裏返せば、これ以上耕地面積が減少すると、非常時の食料安全保障が担保できない。

ガラガラの棚からは、成り行き任せではコメが食べられなくなる未来が見える。効果的な農地集約、デジタル化による農業経営の効率化が必要とあらためて感じる。ひとまず、新米が出回る秋までは我慢だ。

(2024/8/15 05:00)

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