セイノーHD ロボット使い、荷下ろし作業軽減

(2024/8/26 12:00)

  • 西濃運輸の物流センターで稼働するデバンニングロボット

コンテナの荷下ろし(デバンニング)は過酷な作業だ。20キログラム級の重量物もあり夏は室温が50度C近いが、内部は狭く混載で、人手が頼りだ。セイノーホールディングス(HD)傘下の西濃運輸(岐阜県大垣市)は富加物流センター(同富加町)で、川崎重工業製のデバンニング専用ロボット「Vambo(バンボ)」を2023年3月に導入した。

同センターは東海地区を中心とするホームセンター約160店にプライベートブランド(PB)商品を配送する。PB商品は海外製が多く、届くコンテナは日に7、8本とグループ最多級。荷下ろしは1コンテナ分が4、5人で2―3時間かかる。

「人手確保が難しく、自動化での労働環境改善は課題だった」とセイノーHDロジスティクス事業部の吉村篤信越エリア新規・既存開発担当課長は打ち明ける。5年前から10社近いロボットメーカーに相談。しかし専用はなく、使えそうなロボットもなかった。

川重はバンボを22年3月の「国際ロボット展」で初披露。セイノーHDはバンボの初ユーザーの中の1社だ。最大可搬重量は30キログラム。混載の荷物の位置と形を人工知能(AI)で認識し、一体化した無人搬送車(AGV)で自走。吸着パッドで荷物を横方向に引き抜き、付属の伸縮式コンベヤーに載せ替える。

荷物は輸送中に位置がずれ、すき間なく詰まることもある。導入当初は荷下ろし失敗による停止も多かった。川重はプログラムを逐次改善し、引き抜けない荷物を揺する機能や2層目の吸着パッドも追加した。今では「エラーは激減し1コンテナに1回あるか否か」(セイノーHDの吉村課長)だ。

バンボは補助作業も1人か2人で済み、同センターでは荷物の7割近くを対象にできる。現在は荷物の2―3割をバンボで下ろす。「遊休中の半自動デバンニング装置と合わせ5割の荷物で作業負担を減らしたい」と吉村課長。さらに「将来は近隣他社のデバンニングも受託したい」と活用法を磨く方針だ。

(2024/8/26 12:00)

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