(2024/9/4 05:00)
経済産業省は2025年度の税制改正で、売上高100億円以上を目指す中小企業への税制優遇を要望した。100億円以上の企業は現在4500社程度で、国内投資や賃上げなどで地域経済を先導している。こうした企業を増やすことで、国内投資の持続的な拡充につなげる。経産省は「中堅企業」に的を絞った支援策を実施しているが、中堅企業“候補”の規模拡大も後押しする。産業の底上げと強靱(きょうじん)化が進むと期待したい。
経産省は24年度末に期限を迎える「中小企業経営強化税制」を2年延長し、内容も拡充するよう求めた。同制度は、中小企業の設備投資に最大10%の税額控除などを講じている。これに対し、売上高100億円以上を目指す中小企業の同控除を10%以上に引き上げたり、対象となる設備投資の範囲を拡大するなど「上乗せ措置」を創設する。中小企業は目標達成に向けた計画を政府に提出し、認定企業になることなどが想定される。
経産省によると売上高100億円以上の企業は、海外投資を拡大してきた大企業と異なり、外需のほか内需も意欲的に取り込んできた。生産性の向上で賃上げも実現し、地域経済の好循環を先導しているという。意欲的な中小企業を支援することで「国内」での投資が拡大し、持続的に賃金が引き上がる効果が引き出されると期待したい。
大企業は海外で稼いだ所得の半分程度しか国内に還流していないとされる。成長の伸びしろが大きい中小企業の国内投資を促し、成長型経済への移行に弾みを付けたい。また税制面での優遇措置にとどまらず、懸案である価格転嫁も円滑に実施し、「金利のある世界」への対応力も強化しておく必要がある。
改正産業競争力強化法が5月末に成立し、経産省は従業員2000人以下の企業を「中堅企業」と位置付け、補助金や優遇税制で支援している。中堅企業が、給与や従業員の伸び率で大企業を上回っていることが背景にある。中小企業から中堅企業への規模拡大も推進することで、日本は拡大均衡の産業基盤に転じることが求められる。
(2024/9/4 05:00)
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