(2024/9/5 12:00)
三菱ケミカルグループは化学業界における物流の課題への対応を積極化している。トラック運転手の時間外労働の上限を規制する「物流の2024年問題」の影響だけでなく、化学業界は危険物を扱うなど特有の課題がある。業界で共同物流などを検討する組織の事務局を務め、デジタル技術の活用に向けた実証実験を実施する。傘下の三菱ケミカルでも国内工場で荷待ち時間などの本格的な調査に乗り出し、改善策を検討していく。
「ドライバー不足、生産年齢人口が減っていく中で、残業規制がかかる24年に向けて何か取り組みをしないといけない」。三菱ケミカル購買・物流本部の林寿樹物流支援部長はこう振り返る。
危険物、長尺物、重量物など化学品は幅広い。荷姿がさまざまで個社で物流の課題に対応するのが難しく、化学メーカー同士で同じような製品、荷姿で共同物流をしたほうが効率的だと考えた。まず共同物流に向けて連携した三井化学だけでなく、さまざまな化学メーカーに声をかけていった。
並行して経済産業省と国土交通省が設置した「フィジカルインターネット実現会議」があった。「究極の共同物流は効率良く情報を流すとともに、フィジカル面でもユニット単位で標準化しながら効率良くモノを流す概念は同じ」(林氏)と捉え、同会議内での化学品ワーキンググループ(WG)の立ち上げにつなげた。
化学品WGでは三菱ケミカルグループや三井化学、東ソー、東レが事務局を務め、化学メーカーなどが参画。共同物流などに関する分科会を設けている。荷待ち・荷役時間の削減など国のガイドラインにのっとった自主行動計画を策定。より具体的な30年までのアクションプランに落とし込む計画だ。
事務局4社で関東・東海地区においてデジタル技術を活用した共同物流の実証実験に取り組み、最適な共同物流を実現する情報基盤の構築を目指す。
一方、三菱ケミカルグループでも本格的な物流の課題解決に向けた取り組みを推進する。三菱ケミカルの主な国内事業所を対象に荷待ち時間や荷役作業の実態調査を開始。定量的な状況の把握を踏まえ、10月をめどに順次課題を明確化し、改善策を実施する考え。
また今春から出荷オーダー締め切りを1―2日前倒しする取り組みを順次進めている。物流事業者や着荷主の準備に日程的な余裕ができれば、輸送トラックの積載率の向上やモーダルシフトにもつながるとみている。
(2024/9/5 12:00)
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