USスチール買収阻止 バイデン政権、最終調整

• 

  米ペンシルベニア州クレアトンにあるＵＳスチールのコークス工場・施設（ブルームバーグ）

日本製鉄による米鉄鋼大手ＵＳスチール買収計画について、米バイデン大統領が正式に阻止する方向で調整に入ったことが明らかになった。複数の米メディアが報じた。買収計画は１１月の大統領選と絡んで政治問題化しており、買収に反対する全米鉄鋼労働組合（ＵＳＷ）の支持を得たい思惑がありそうだ。

買収計画を巡っては４月にＵＳスチールの株主総会で承認を受けた。現在は外国企業による対米企業投資について経済安全保障上の懸念がないか調査する米政府の対米外国投資委員会（ＣＦＩＵＳ）が審査している。ＣＦＩＵＳが買収を承認しない場合、米大統領は中止命令を出せる。

日鉄は複数の米メディアの報道を受け「ＣＦＩＵＳからの審査結果は受領していない。関係当局による審査開始以降、本買収が国家安全保障上の懸念がないことを米国政府に対して明確に伝えてきた。法に則り、適正に審査されるものと強く信じている」との声明を出した。

日鉄は買収に向け、８月２９日にＵＳスチールに対する１３億ドル（約１８８０億円）の追加投資計画を発表。４日には取締役の過半を米国籍にすることなどを柱にした買収後のガバナンス方針を公表していた。

ＵＳスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者は現地メディアに対し、日鉄による買収が成立しない場合、製鉄所の閉鎖や本社を移転する可能性を示唆している。