一貫製造、現場の「癖」に適応 楠精工の熱間鍛造プレス用ダイホルダー

(2024/9/11 12:00)

  • 楠精工が開発した「HPCダイホルダー」

楠精工(名古屋市熱田区、三浦光広社長)は、熱間鍛造プレス用ダイホルダーの設計・製造を事業のメーンとする。ダイホルダーはプレス機械に金型を固定する機具だ。

同社が1982年に開発した熱間鍛造プレス用の「HPCダイホルダー」は、ボタン操作により安全で楽に金型を固定することを実現。それまでは作業者がプレス機の内部に入り込み、金型をボルトによって人力で脱着していたが、その危険な力作業を不要にした。

金型交換の時間短縮や省力化、省スペース化、安全性を飛躍的に高めたこのシステムは、当時の鍛造業界に革命を起こした。以来、同社は金型交換を容易にした熱間鍛造プレス用ダイホルダーの先駆者として市場をリードしている。

HPCダイホルダーは1品1品の設計から製造までを、鍛造部品メーカーなどの顧客から一貫して受注する。ここに顧客から設計書を受け取り、ダイホルダーの製造のみをする他社と差別化する技がある。培ったノウハウを基に、プレス機の特性、プレスする物、金型の大きさ、使用する潤滑油の性質といった顧客の現場の状況にある「いろいろな癖」(三浦社長)を勘案し、それに適応するダイホルダーと金型を作り上げる。

ダイホルダーそのものだけではなく、プレス機や金型周りについても改善策を提案し、必要な作業を請け負う。例えばプレス機のヘッドが上下に移動する際、その動きを導く役割をする円柱のガイド機構について、荷重の重心が金型の中心とずれる「芯ずれ」を起こしにくくする角柱に変更したり、使用時に予熱が必要な金型には内部にヒーターを通すための加工をしたりする。

長年、熱間鍛造プレス用ダイホルダーの市場をけん引していたことから、ダイホルダーや周辺の技術の「いろいろな引き出しを持っている」(同)。近年は、その引き出しを駆使して、冷間鍛造プレス用の市場開拓も進めている。

(2024/9/11 12:00)

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