(2024/9/24 12:00)
熱分解装置や金属キャピラリーカラムといった分析機器を手がけるフロンティア・ラボ(福島県郡山市、渡辺壱社長)は、米国はじめドイツ、中国、シンガポール、インドなど世界各地に拠点を持つ。社員約50人のうち外国出身者は1人だが、海外の現地スタッフや販売店との英語でのやりとりは日常茶飯事。本社に滞在する海外の大学研究者の存在や若手社員向けの英会話レッスンも、グローバル事業でのコミュニケーション力の強化に役立っている。
2024年7月。フロンティア・ラボの海外拠点の現地スタッフ6人が郡山市の本社に集まり、「プロダクトチャンピオンミーティング」と名付けられた毎年恒例の会議が3日間開かれた。新製品の紹介から研究成果発表、装置を使った分析のワークショップなど内容は多岐にわたり、本社からは研究開発、マーケティング、カスタマーサポートの社員らが参加した。使用言語はすべて英語だ。
これ以外にも、カスタマーサポートは4人で世界に60近くある現地販売店のトレーニングを担い、基本的に販売店の担当者に来日してもらって装置の使い方などを英語で指導する。加えて、同社の装置や熱分解総合分析システムの最終ユーザーは大学や研究機関で水中のマイクロプラスチックの定量分析などを手がける研究者がほとんど。熱分解装置で高い国際競争力を持つことから、中には数週間から数カ月にわたってフロンティア・ラボに滞在し、研究を続けるケースもあるという。
70代の米国人で同社のグローバル事業の経営アドバイザーを務めるウィリアム・ピプキン氏もその1人。元米ヒューレット・パッカード(HP)の化学分析装置のエンジニアで、22年から東北大学大学院環境科学研究科の博士課程に在籍中だ。本社の近隣に家を借り博士論文の研究に打ち込んでいる。
こうした英会話が必須の社内環境にあっても、「若手では英語がまだまだという人もいる」と渡辺社長。そこで英語力の底上げのため、ネイティブ講師を会社に呼んで若手社員向けに月2回の英会話レッスンを業務時間内に実施。2年に1度の海外社員旅行でも、現地に行って英語をどんどん話してもらうのが狙いの一つという。
海外人材について「申し込みがあれば採用を検討したい」と渡辺社長は前向きに話す一方、「ビジネスは結局、人と人とのつながりから生まれる。そのためにはいくら翻訳技術が発達しても、互いの風習や文化を理解し、自分の口で相手に考えを伝えることが大事になる」と強調する。
(2024/9/24 12:00)
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