インタビュー/太陽工業・豊田宏氏 テント膜材 研究ひとすじ

(2024/9/24 12:00)

太陽工業(大阪市淀川区、能村祐己社長)は、大型膜面構造物(テント構造物)の設計施工などを手がけている。その研究開発の最前線に立ち続け、かつて膜構造研究論文賞を受賞した経験も持つ豊田宏氏に話を聞いた。

―現在の仕事内容を教えてください。

「テント構造物で使う膜材の開発に取り組んでいる。現在は国土交通省のプロジェクトである月面インフレータブル居住モジュールの実現に向け、ゼネコンや大学と共同で研究開発している。また大阪・関西万博に共同出展する飯田グループホールディングス(HD)と大阪公立大学のパビリオンで使う西陣織の膜開発にも参画。1970年の大阪万博でも、太陽工業の膜が活躍して発展の礎になった。だからこそ、今度の万博でもさらなる成長の推進力となるべく頑張りたい」

―技術開発畑を長く歩まれていますね。

「入社してから、これまで部署異動をほとんど経験していない。テントの要となっている膜材の開発にずっと携わっている。大きなイベントや博覧会があると、大変な思いをしながら開発作業をした。例えば85年のつくば科学万博では大きなパビリオンで使われる膜材の開発に取り組んだ。また、05年の愛知万博では、ケナフ膜材を作った。このケナフ膜材は、会期終了後に回収して紙としてリサイクルした。大変な思いをしたからこそ、技術を高められたと思っている。また、大きなイベントの終了後はホッとする。今度の大阪・関西万博に向けても、今まさに技術を高めている最中だ」

―後輩にはどんな技術承継をしていますか。

「毎週水曜日に膜材料の勉強会をオンラインで実施し、講師もしている。少しでも全社の開発力向上に寄与できたらうれしい」

―以前は大学で非常勤講師もしました。

「頼まれたらやるというスタンスで、取り組んできた。非常勤講師を務めて良かったことがある。さまざまなバックグラウンドの人と出会えたことだ。開発には、詰まるところ人脈が必要だ。講師を務めることで門戸が広がり、新しいノウハウも広がり、開発に生かせてきた」

(2024/9/24 12:00)

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