伸光製作所、ブラスト基板を量産化 試作・量産を同一ラインで実現

(2024/9/25 12:00)

  • 薄板ブラスト加工技術で製作したしおり。微細な穴開けが可能

住友金属鉱山の完全子会社である伸光製作所(長野県箕輪町、下地匠社長)は、プリント配線板の設計・製造・販売を手がけている。主に産業機器や自動車、先端電子部品向けに展開する。2018年には砥粒(とりゅう)を使ってサンドブラストでプリント基板に穴を開ける薄板ブラスト基板を量産化した。「他社がまねできない加工技術ノウハウ」(下地社長)を武器に、顧客のニーズに柔軟に対応する。

同社は国内生産と海外OEM(相手先ブランド)生産の2体制を持つ。国内では本社工場と伊那工場(同伊那市)で製造を行っており、小ロットや中ロットの少量多品種生産を得意とする。国内生産体制の強みは一貫生産ラインによる安定した高品質の維持や治具レス工場の推進だ。試作と量産を同一ラインで生産できるという特徴もある。

プリント配線板におけるブラスト技術を量産展開したのは同社が初めて。ブラストによる穴加工は、まずブラストマスクを形成し、その後エッチングで穴を開ける部分を開口。次に微細な砥粒を高速で噴射し、被膜部分以外に穴を開ける。最後にブラストマスクを剝離して完成する。ブラスト加工は高度な条件設定が必要で、適切な条件でなければ穴が開かない。これまでの加工技術の蓄積により、砥粒を当てる強さなどブラスト加工機の最適な調整を行う。

穴開け技術としては、レーザーや数値制御(NC)ドリル、ルーターなどが一般的。ブラスト加工は位置決め精度が高いことや自由な形状での穴開けが可能であること、基板表面の穴を一括で加工できることなどが特徴だ。例えばルーターで削った場合、端面がざらつき、ゴツゴツした部分が脱落して汚れにつながることがあった。

今後、半導体向けプリント配線板の需要が高まると、要求される技術も一層高度化することが予想される。層の数が増え、高密度化が進む中、同社はブラスト技術をはじめ周辺技術の強化にも力を入れる構えだ。

(2024/9/25 12:00)

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