インタビュー/新日本バネ工業技術顧問・本薗豊彦氏 作り続け 感覚身につける

(2024/10/1 12:00)

バネメーカー、新日本バネ工業(北九州市小倉北区、林卓也社長)の本薗豊彦氏はバネ作り歴40年以上。現在も製造全般に携わり、技術顧問として人材育成も担う。バネ作りにどう向かい合ってきたかなどを聞いた。

―どのように技術を習得してきましたか。

「代表的なコイルバネは線材を巻き付けて作る。基本的な手巻きの感覚を身に付けるには、たくさん作るしかない。最初の頃は機械で巻きたいと思っても手作業だった。小さなバネの細い線材は巻き付ける感覚が分かりにくい。それでも作り続ければ分かってくる」

「自分は先輩に恵まれた。みんな優しくて怒られた記憶がない。製品の出来が良くないと先輩が修正してくれた。そのときにうまくいかなかった理由を教えて、手本を見せてくれた。言われたことはメモした。苦労したのは機械の操作を覚えること。説明書を毎日家に持って帰って書き写した」

―仕事で特に意識していることはありますか。

「同じ線材でも微妙なねじれなど違いがあると思って臨む。機械で巻いていて違いが分かると力加減などを調整する。バネ作りに調整はつきもの。押すためのバネは巻いた線材と線材の間隔が同じでなければならない。見た目の問題ではなく、バネの能力にかかわるからだ」

「同じ製品を複数作り、並べたり重ねたりするとわずかな違いに気付くことがある。顧客の要求を満たしていたとしてもバラつきは避ける。そこまでしなくてもと思われるが気がすまない」

―人材育成にはどのように取り組んできましたか。

「会社としても重視している安全が最優先。作業中の小さなけがの可能性はいくつもあり、自分の経験を伝える。後輩の成長を感じるのは作業時間が早くなったとき。『最近残業が少なくなったなあ』と言えるようになるのがうれしい」

―今後の目標は。

「当社には、手巻き用など治具が何種類もあり、溶接など治具を作る技術と伝統がある。長いものは何十年も使い続けられる。新しい製品に対応して作ることが多く、昔の治具をベースに改良して作ることもある。後輩の役に立つような治具を作っていきたい」

(2024/10/1 12:00)

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