若手の成長に寄り添う 日本ペイント・冨田理会氏に聞く

(2024/10/1 12:00)

日本ペイント 技術統括本部開発部技術開発グループマネージャー・冨田理会氏

バブル経済の頃に入社し、大卒同期60人のうち、女性は8人でにぎやかでした。上の世代は女性がいなくて当たり前。会社は女性をどう扱えばよいか分からず困っていたと思います。今では隣に女性が座っていて普通で、理系や営業職も増えています。私自身は元々女性1人の会議も平気でしたが、職場の意識が変わってきました。

大きな転機は2000年から02年の社会人入学です。働きながら大学院で化合物を研究し、工学博士号を取得しました。職業の学会で知り合った先生から誘われ、入学を決断しました。中央研究所でテーマとしていた塗料成分の振る舞いを、大学院で詳しく学んだのです。塗料の品質を高める貴重な知見が得られました。週1回新幹線で通学しましたが、とても楽しく苦労を感じませんでした。

技術者は学びたいと思う時が学び時です。やる気があったので大学院では夢中で勉強しました。自分が初めて造った塗料が出荷された時の感動は新鮮に覚えています。今はマネージャーになり、研究しながら若い社員の学びを応援する番です。モノづくりが好きですが、いつまで研究職を続けられるかは分かりません。これからは若い社員に寄り沿い、その成長を感じられるようになりたいです。

20年には日本ペイントホールディングス(HD)傘下のD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)委員会のメンバーに選ばれました。多様性と受容性の意識改革や人事施策をリードします。例えば「ワンウィークホリデー」制度では、連続5日の年休で1週間休めます。年初におよその取得時期を申請しますが、この期間は仕事から完全に解放されます。みんなで協力して職場を回し、特定の社員に頼らないよう工夫します。育児・介護休暇や在宅勤務も含め、柔軟に働けるようになりました。制度を利用できる空気作りが大切です。個々人が全力で働く時期、ゆっくり働く時期を選べて、キャリアを形成できる職場に努めます。

(2024/10/1 12:00)

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