(2024/10/8 12:00)
第一生命ホールディングス(HD)は国内外のグループ社員が参加できる「グローバル・ジョブポスティング」(社内公募制度)を推進している。従来の海外関連の人事制度は、日本人の社員が留学や海外派遣で国外に出る施策が主流だった。だが同社は2030年にグローバルでトップクラスに入る保険会社を目指す中、世界中の社員に成長の機会を提供し、国内外問わず多様な人材が活躍できる人事制度を整備する方針だ。
「周りの社員がサポートしてくれるので、楽しく働けている」。第一生命HDの豪州子会社、TALから日本本社に赴任したサラ・クーさんは笑顔を見せる。クーさんは、社内公募制度で1月に来日。同制度で日本に来た第1期生だ。
社内公募制度は22年に始まり、当初はコロナ禍だったため、リモートワークで就業時間の2―3割程度を使って海外グループ会社の仕事に携わる形式を取っていた。コロナ禍が明けると、国境をまたぐ移動が可能になり、24年には海外のグループ社員2人が日本で働くようになった。リモートも含め、過去3年で計20人(9月時点)が同制度に参加している。
第一生命HDが社内公募制度を導入した背景には、「優秀な社員に活躍の場を広げる狙いがある」と人事ユニットの竹吉春樹マネジャーは語る。同制度の導入前はそれぞれの会社内でしか異動する機会がなく、成長機会が限られた。海外では転職するリスクがあった。優秀な人材をつなぎ留めようと、同制度の導入に踏み切った。
実施してみると、副次的な効果もあった。クーさんの同僚で海外生保事業ユニットの吉田尚太郎さんは「英語を話す機会が以前より増え、いい刺激になっている」と話す。竹吉マネジャーは「これまで日本人のあうんの呼吸でやってきたことが通用しなくなり、受け入れ側もグローバル対応を迫られている」と指摘。制度利用者だけでなく、受け入れ部署の社員にも成長を促す良い機会になっていると見る。
今後に向けては、「日本人の社員の応募をいかに増やすか」(竹吉マネジャー)が課題という。現状、日本人社員は腰が重く、利用者はいないという。真のグローバル企業になるには、日本人を含むグループ社員が競い合ってポジションを取りにいく。そういう世界を目指す必要がある。同制度の利用者が経験談を語るなどして制度を社内に周知し、将来的には日本人の社員にも積極的に活用を促す考えだ。
(2024/10/8 12:00)
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