(2024/10/28 12:00)
わずか数滴の血液から将来の病気の発症リスクを予測する。これを実現するのはNECグループのフォーネスライフ(東京都中央区)が提供する血液検査サービス「フォーネスビジュアス」だ。カギとなるのは提携先の米ソマロジック(コロラド州)が持つ血中たんぱく質の解析技術と、NECグループが持つ多様な人工知能(AI)技術。その掛け算によって、血液ビッグデータ(大量データ)から未来を読み解く。
フォーネスビジュアスは医療機関を通じて採血した少量(5㏄)の血液から約7000種類のたんぱく質を測定し、脳梗塞や認知症、心筋梗塞、肺がんなどの将来的な疾病リスクを可視化して発症確率を予測する。
「血中たんぱく質の検査は遺伝子検査とは異なり、生活習慣の影響を反映する」とフォーネスライフの和賀巌最高技術責任者(CTO)は語る。血中のたんぱく質は健康状態によって構成比が日々変化する。その変化からさまざまな疾病の発症リスクや健康状態を可視化することが可能だ。
遺伝子が同じだから同じ病気になるわけではない。例えば認知症なども生活習慣の影響でたんぱく質のバランスが崩れて発症することは多い。フォーネスビジュアスは疾病の早期発見ではなく、「健康な人が今の生活を続けると、将来こんな病気になることが分かる」(和賀CTO)のが特徴。事前にリスクを知り、生活習慣を改善すれば病気の発症を予防できる。
具体的には血液ビッグデータと、7000種以上のたんぱく質を一度に解析できるソマロジックの技術を掛け合わせてAIで分析する。血液ビッグデータは病気がないときの血液や疾病が発症したときの健康状態などを記録した膨大な情報で、生体試料を扱う世界的なバイオバンクから入手。これを説明可能なホワイトボックス型AIで読み解くことで、疾病の発症に至るたんぱく質の変化などのパターンをルール化する。
フォーネスライフの設立は2020年。「(設立前の)06年からたんぱく質を読み解く仕事を国内外の研究データと専門家の協力を得ながら、コツコツとやってきた」(同)。
フォーネスビジュアスでは、検査後に健康状態や将来の疾病確率などをまとめた報告書を一人ひとりに届け、生活習慣の改善に役立てる。検査を受けられる医療機関は現在約60カ所。高齢化に伴う医療・介護費の抑制を目的に、熊本県荒尾市などの自治体との連携も始まっている。今後の広がりが注目される。
(2024/10/28 12:00)
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