【早読み特選】トランプ氏再選 産業界の声 対中政策を注視

(2024/11/7 17:00)

  • トランプ氏(中央)は関税強化や地球温暖化対策の転換を掲げており、日本企業への影響が懸念される(AFP時事)

米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領の当選が確実となったことを受け、日本の企業の首脳や経済団体トップからはリーダーシップを期待する一方で、経済・産業政策の変化や過度な保護主義を警戒する声が挙がった。トランプ氏は所得税減税の恒久化や関税強化を掲げるほか、地球温暖化対策を転換する姿勢を示しており、日本企業への影響も懸念される。

三和ホールディングスの高山靖司社長は「関税引き上げは最も気になる。米州で製造する開閉器の電子部品は各国から調達しており、中国の部品の価格が上がることは懸念材料の一つ」と話す。東レの萩原識副社長は「対中政策の動向によりサプライチェーン(供給網)の構造変化が起こる」とみる。

米国で食品事業を展開する長瀬産業の池本眞也専務執行役員も「米国が中国から輸入する食品素材の割合は多く、追加関税の価格転嫁を米国消費者がどう受け入れるかがポイントになる」と指摘する。一方、減税策で景気が良くなる可能性もあり「(プラスとマイナス)両方の影響を注視している」と語る。

地球温暖化対策の転換により、再生可能エネルギー利用にブレーキがかかる可能性もある。三菱重工業の泉沢清次社長は「エネルギートランジション(移行)を考えても天然ガスはある程度必要になってくるので、そちらに少しウエートが行くのではないか」と分析。「具体的な案件があるわけではないが、(火力発電設備向けガスタービン・コンバインドサイクルを含むエナジードメインで)受注が伸びる可能性はある」と予測する。

電気事業連合会は「化石燃料の生産拡大や電気自動車(EV)の普及の停滞などにより、短期的には脱炭素の潮流が弱まる可能性はあり、状況を注視する必要がある」とのコメントを出した。

(2024/11/7 17:00)

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