(2024/11/7 12:00)
エステーは物流取引情報のデジタルデータ化を通じて、サプライチェーン(供給網)全体の配送や在庫管理を最適化し、生産性向上を図っている。事前出荷情報(ASN)を卸売業に配信することで、納品時の検品作業を簡素化する。検品レスが進めば、トラック運転手の構内待機時間を削減でき、拘束時間を少しでも減らせる。製品にもよるが検品時間を10%以上効率化し、運転手の待機時間を減らすことができた。
実証実験を経て2023年7月から本格的にASNの配信を始めた。配信にはプラネットが提供する「ロジスティクスEDI(電子商取引)」を活用し、書式は他の日用品メーカーとも連携し、統一した内容に調整した。「店頭では競争。物流では協力する」(辻幹夫エステービジネスサポート社長)のが、今の業界の考え方だ。各社が連携することで物流課題の解決を目指す。5月にはエステーを含む日用品メーカー14社が日用品サプライチェーン協議会も立ち上げ、サプライチェーンに関する課題解決に向け、業界全体の問題として連携して取り組んでいる。
ASN導入前の卸売業者は発注内容を納品物、そして納品伝票と照合することで検品していた。1種類の商品をトラックが複数に分けて配送すると、最後の便まで全体量を把握できず、検品作業がいつ終わるか分からないなど作業予定を把握することも難しかった。
ASK導入により、どの倉庫から、いくつの商品が納品されるかなど付帯情報として分かるようになった。検品は納品物に貼られたITFコードを読み取るだけでほぼ終了し、作業の早期化が可能となった。辻社長は「最短でトラックの積み下ろしを完了するには、10トン車で20分かかる。この20分に少しでも近づくように物流効率化を進めている」と目標を掲げる。
日用品業界は共同配達体制を採用しており、トラック内の商品の全メーカーがASNを導入すれば、メーカーを問わず積み下ろした順番に検品ができるようになる。導入前はメーカーごとの伝票を確認しながらの作業だった。ASNを導入している企業が多数だが、さまざまな事情で導入できていない企業も一部混在している。それでも検品作業の短縮につながっており、一度ASNによって省力化した検品作業を体験した現場スタッフを中心に導入を求める声が大きくなっているという。今後はASNを小売りにも拡大し、販売店の倉庫までデータ連携の範囲を広げる計画だ。
(2024/11/7 12:00)
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