(2024/11/14 12:00)
佐藤薬品工業(奈良県橿原市、佐藤雅大社長)は、トラック運転手の時間外労働の上限規制適用に伴う「物流の2024年問題」が注目される以前から物流の効率化に取り組んでいる。製品の出荷時にトラックの待機時間削減に向けタイムスケジュールの精度向上を図っている。今後はトラックでの複数段積みの手法を検討するなど、運送会社や取引先の協力も得ながら、さらなる改善を進める。
佐藤薬品の物流は23年度の原材料の入荷が約1万7000パレット、製品の出荷は約1万8800パレットの規模だった。積載量4トントラックにパレット最大10枚、同10トントラックで最大16枚を積める。24年度もほぼ同規模で推移している。
輸入する原材料を除けば、ほぼトラックでの陸送になる。船舶や鉄道へのモーダルシフトは港湾関連のセミナーへの参加などを通じて検討を進めている。ただ、奈良という内陸地に立地する点や貨物載せ替え時の破損リスクなどを考えると難しい状況とする。
このため、いかにトラック物流の効率を高めるかがカギを握る。出荷スケジュールについては生産管理や出荷検査などの部門と連携して、運送会社に出荷の1週間前に通知する予定表と2、3日前に通知する確定表との差を小さくしている。「検査作業も出荷時間に合わせて効率化できている」(資材課)と物流以外の部門との相乗効果も図っている。
22年に延べ床面積約6000平方㍍、24年に同約2000平方㍍の新工場棟を稼働した。両工場とも稼働率50%で余力があり、「ニーズに対応しながら生産を強化する」(同)方針。生産が増えるほど物流効率化による効果がより大きくなる見込みだ。
一方、トラック予約システムは未導入。「予約システムを入れてもトラックはどこかで待機する。バース管理も含めて運送会社と我が社の双方にメリットあるものがあれば検討する」(佐藤社長)。
効率アップにはトラックの荷台の体積の有効利用も求められる。薬品は箱の高さが低い上、破損リスクで複数段積みができない。このため架台や棚などを設けて複数段積みする手法を納品先と検討している。
今後は無線識別(RFID)タグ、トラックにパレットを自動で積み込むトラックローダーなどの導入を検討する。自動・無人搬送で効率化するにはレイアウト改良など大規模改修が必要だ。新工場建設時などに踏み込んで検討する方針で長い目で捉える。
(2024/11/14 12:00)
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