インタビュー/日立ハイテク 執行役員サプライチェーンプラットフォーム統括本部長・石谷俊明氏 商事・調達機能統合、リスクを予防

(2024/11/14 12:00)

―2022年度に発足した「サプライチェーンプラットフォーム統括本部」の役割は。

「社内の商事機能と調達機能が統合して発足した。我々のモノづくりは国内中心の一方、売り上げの8割以上は海外である特徴がある。今後、国内外でさまざまな事象が起こる中、商事的な発想も必要だということで一体的な組織になった。大きなミッションはサプライチェーン(供給網)のレジリエンス(復元力)とサステナビリティー(持続可能性)、パートナーエンゲージメントだ。そのための策として、プラットフォーム(基盤)を形成している」

―具体的には。

「20年の部材の調達難を振り返り、どういった対応をするかでスタートしている。まずはリスクから保護する仕組みを作った。現在はリスクを予防することに注力している。例えば災害などで生産に影響が出る期間を短縮したり、サプライチェーンの情報を管理し、需給がタイトになりそうな兆候を捉えたりしている。我々の試算では、EBIT(税・利払い前利益)で約120億円の減少抑止の効果があった」

―加えて、取引先の中小企業の経営も支援しています。

「中小の課題は親事業者と対になって考え解決するべきだ。我々はITや調達などでサポートしている。日本のモノづくりはもう一度全体として成長する。これから生産能力を増強していくに当たり、外注比率も高めていきたい」

  • DNAシーケンサーや半導体計測・検査装置などの設計・開発・製造を行う那珂工場

―人手不足が深刻な中、サプライチェーンの生産設備の稼働率を最適化していく取り組みなども必要です。

「我々の反省でもあるが、これまで見積もりや納期、生産調整などの変更に多くの負荷をかけてしまっていた。改善のため上流からの情報共有を早めたり、見積もりなどもある範囲の中で平準化したりしている。また、作業の進捗(しんちょく)や稼働率を把握することで作業量を計画的に確保することも行っている。今後は海外拠点や営業から見て、工場やサプライヤーの状況をより可視化できるよう、共有する情報量を増やしていきたい」

(2024/11/14 12:00)

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