産業春秋/南海トラフ臨時情報、あいまいさが課題

(2024/11/28 05:00)

能登半島地震の発生で始まった2024年は、列島が自然災害や異常気象に翻弄された1年でもあった。8月には南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたほか、列島各地で記録的な豪雨や猛暑に見舞われた。

こうした中で南海トラフ地震臨時情報について、東京大学大学院総合防災情報研究センター長の関谷直也教授は「メッセージのあいまいさ」に課題があったと指摘する。

臨時情報は地震への備えを促すのが目的。ただ当時の岸田文雄首相は、まず「日常の生活における社会経済活動を継続しつつ」とした上で「地震への備えの再確認」を呼びかけた。内閣府や自治体の言い方も抑制的で、発表による住民の行動変容は限定的だったと説明する。

臨時情報は地震を予知するものではない。8月8日の宮崎での地震により、0・1%だった南海トラフ地震の発生確率が0・4%になったという統計に基づく情報だ。ただこの数値が抑制的な言い回しにつながったことは否めない。

臨時情報で最も強調すべきは、家具の転倒防止対策や避難場所・経路の確認などを促すことという。政府は発表の文面を準備すべきだろう。災害や異常気象から得た貴重な教訓を今後に確実に生かしたい。

(2024/11/28 05:00)

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