インタビュー/村田製作所 調達統括部 統括部長・宮尾晃平氏 調達リスク軽減へ人材シフト

(2024/11/28 12:00)

―調達で重視することは。

「これまでは安定調達やコスト低減が求められていたが、現在の優先課題は調達リスクの低減だ。人権や環境問題、災害リスクへの対応、需要変動に迅速に対応できるサプライチェーン(供給網)構築などが挙げられる。さまざまな調達リスクの未然防止活動に時間を割けるように、ルーティーン業務の削減に着手した。具体的には調達件数全体の30%を占める(消耗品や備品などの)間接材調達業務にメスを入れる。調達部門の社員が、より頭を使う業務に労力をシフトできるようにしたい」

―地政学リスクの高まりが指摘されています。

「サプライチェーンを多様化し、複数の調達先を持つことが基本の動き。輸出規制のかかるレアアース(希土類)は常に最悪のシナリオを想定し、製造に十分な量を確保している。加えてリサイクル品の使用を積極的に進めている」

―環境面からもリサイクルの取り組みは重要です。

「製造工程の途中で使う『プロセス材』のリサイクルに取り組んでいる。積層セラミックコンデンサー(MLCC)製造で使うポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは従来廃棄していたが、再びPETフィルムに戻す水平リサイクルを始めた。フィルムの返却ルート整備を調達部門が担う」

  • チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミックス原料

―サプライヤーの富士チタン工業(大阪市西区)やその親会社の石原産業と3社で、2023年9月に共同出資会社を設立し、新工場も稼働予定です。

「共同出資会社『MFマテリアル』でMLCC原料であるチタン酸バリウムを製造する。チタン酸バリウムの生産増強や安定調達が目的だ。MLCCは右肩上がりで市場成長が見込まれているため、チタン酸バリウムも相当量が必要になる。当社のMLCC売上高が大きく成長した現在は、仮に5%の成長でも、すでに母数が大きいため調達部門からすると大変なインパクトになる。当社はチタン酸バリウムも内製しているが、外部調達にも力を入れる」

(2024/11/28 12:00)

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