産業春秋/メタバースと移動ロボット

(2022/1/12 05:00)

先日の米デジタル技術見本市CESでも話題の「メタバース」。そこに「メタモビリティー」という構想をぶつけたのが韓国の現代自動車だ。

ブームに乗じてとはいえ発想自体は興味深い。仮想空間前提のメタバースに対し、メタバースに現実世界を自由に動けるロボットを接続。それをアバター(分身)代わりに、将来は火星の環境を直接体験したりロボハンドで工場設備を操作したりできるという。

似たような例は建設機械の遠隔操作や外出困難な障がい者が遠隔でサービスを提供する分身ロボットカフェなど、あるにはあるが、広大な仮想空間とつなぐわけではない。

「バランスを保ち、階段を上り、物体を器用に操作し、どんな地形も移動できる。それがアスレチック・インテリジェンスだ」。走ったり宙返りもできる人型ロボ開発で知られ、ソフトバンクグループから現代自傘下に移った米ボストン・ダイナミクス。創業者のマーク・レイバート氏はCESの会見でメタモビリティーを実現するロボットの高い運動機能に胸を張る。

テクノロジーの映し出す仮想世界と遠隔世界。宇宙論とは違う意味で、我々は複数のマルチバース(多元宇宙)を生きることになるのだろうか。

(2022/1/12 05:00)

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