[ その他 ]
(2015/11/16 05:00)
国際政治には「戦争をする自由」という言い回しがある。現代の多くの先進国は、戦争で失うものの方が大きいから自らは踏み出せない。圧倒的な物量を持つ米国だけが例外とされる▼残念ながら、もうひとつの例外が失うものの少ないテロリスト集団である。日本時間14日未明にパリで起きた同時多発テロは、イスラム過激派組織『ISIS』の犯行と推測される。多くの人命が失われたことに強い怒りを覚える▼非道な戦争行為は、いかなる理由があろうとも許してはならない。フランス政府による非常事態宣言と国境封鎖は早期の治安回復に向けたものであり、フィギュアスケートの大会中止もやむを得ぬ措置だろう。日本企業の現地駐在員や関係者に被害が及ばないことを祈りたい▼パリでは30日から第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開かれ、各国首脳や閣僚の参加が予定されている。地球環境保護に向けた重要な節目だ。成果を上げるためにも、警備の強化をお願いする▼2001年9月ニューヨーク、05年7月ロンドン、そして15年11月パリ―。忌まわしい同時多発テロの連鎖を断ち切るには、テロリストの「戦争をする自由」に屈せぬ国際社会の連帯が必要だ。
(2015/11/16 05:00)